覚悟を決める
手術をすることに関して、色々な不安も出てきたが、私は後戻りはしなかった。
それは、医師を信頼できていたからかもしれない。
信頼できたというか、信頼しようと決めたからかもしれない。
根拠はない。
信頼すると言っても、診察で2回しか会っていないし(粉瘤の手術の後、一週間後に再診している)、しかも、ほとんど話などしていないが…
それこそ、私の本能が選択したのだろう
この先生にお願いしようと思ったのは、信頼したから、信頼しようと思ったから
そして、ワキガ臭を漂わせたくないと切なる願いから、治療に踏み切ることにした
いろいろなリスクはあるのかもしれないが…
今まで、大きな手術をしたこともある。
その際、リスクは説明される。
そのリスクに恐れおののくこともあったが、実際、そのリスクにさらされたことはなかった。
だいたいは、経過良好で最悪な結果など起こらなかった。
だからと言って、絶対大丈夫であるわけではないけれど、前ヘ進むしかないと、覚悟を決めたから、後戻りしなかった。
ネット情報に振り回され、マイナス思考に陥ったときは、いったんネットから離れ、冷静になる時間が必要ですね
そして、あとは自分の本能に従う。。。
不安、マイナス思考
自分がこれからが体験する手術やそのあとの経過など知りたくて、色々な人の経験談を読みあさっていたが、そんな中、術後臭というものが気になりはじめた。
ワキガの手術をした後に、ワキガ臭とは違うにおいに苦しむ人がいるということ
それにより、手術をしなければよかったという人がいること
しかし、医師の説明によると、代替発汗のようなものはないという説明だったので、「術後臭」ということに関しても、あえて確認はしていなかった。
手術を前にして、それらの人の体験などを読み、自分もそうなったらどうしよう…
ワキガは解決しても違う得体のしれない臭いに苦しむ結果になったらどうしよう…
そんなことになるくらいなら、まだ今のままのほうがましじゃないか?
よくなりたいと思って治療を受けて、そんな苦しみにあってしまったら、もう絶望してしまうのではないか
それこそ、手術したことを後悔するのではないか?ととても不安になった。
そしたら、自分のワキガの程度なら、ポリエステル素材に気をつけさえすれば、コントロールできるんじゃないか?〇―ラビオや、クリームだって効果があるんだし…
コントロールできない臭いに苦しめられるよりも、今のままのほうがいいのではないか?とかなり私の心は揺らいでしまった。
もし、そうなったとき、誰が親身になって、手助けしてくれるのだろうか?
医師は、確かに、真摯に受け止めてくれるかもしれないが、そのようなことはないということが医学的見解だとしたら、きっと、あの医師にもどうにもできないのではないか?
しょせん、自分のことじゃないわけだし、臭いを感じるのは本人しか分からない領域だし。
どれくらい、そのようなことに苦しむ人がいるのか分からない。
少数なのかもしれない。けれど、本当にそんなことがあるのだとして、もし自分がそんな目に遭ったら・・・
不安になった
それに、手術で、きちん取り切れなかったら、どうしよう
あの医師は、かなりのベテランのようだが、私が見た口コミやコミュニティの情報は、10年ほど前だったので、今のリアルな情報じゃない。
医師も年齢を重ねて、もしかして、目も見えなくなって細かな作業がしづらいとかなっているかもしれない、それにより、腕も落ちているかもしれない。
などなど、マイナス思考にまっしぐら
調べれば調べるほどに、不安ばかり膨らんでいった
手術日決定
医師の都合のよい日は、〇日と〇日。
私は、早いほうの日にちでやりたいと思った。
仕事は、最低でも手術日から抜糸の日までは休まなければならない。
そのために、仕事仲間にもシフトを交代してもらった。
結局、仕事場の定休日などを利用して、手術当日~抜糸日までの3日間と、さらに2日間休める日程を組むことができた。
そして、初診の翌日に、電話で手術の日の予約を取った。
いよいよ、これで準備が整った。
10日後には、手術を受けることになった。
とうとう、決めたのだった。
そのあとは、インターネットで、ここで手術をした日々とのコミュニティなどを見つけて、読んだ。
とても励まされた。
不安もあったが、改善したい思いの方が大きかった。
初診
病院へは、家から約一時間
乗り換えは一回のみ。しかも、乗り換えも分かりやすく、通うことに苦ではない距離だった。
駅からも、まずまず近くわかりやすい場所にあると思う
駅からは、最初はどちらへ向かえばいいのか?少し戸惑ったが、地図アプリを見ながらなんとかなった。
到着すると、待合所にはほとんど人はいなかった。
〇時予約の〇〇です。問診票の記入。
そのあと、すぐに、診察室へ呼ばれた。
HPの先生が、ふんわり笑顔で立っていた。
メールいただきましたね…
はい、失礼いたしました…
席につき、耳垢は湿っているか?両親はワキガか?シャツは黄色くなるかなどの質問を受ける。
更年期なのか、汗の量が増えて、服から強烈なにおいがするようになって、治療をしたいと思うようになったことなど話した。
医師は、「ポリエステル素材は、ワキガの人じゃなくても臭いですよ」と言った。
※いや、そうかもしれないが、臭いの種類が違う気がするのだけど…反論はしなかった。
小さなガーゼで脇をこするように言われる。
制汗剤を使った右の脇の下をごしごしして、渡す。
先生が、さっと嗅ぐ。
「少ししますね」とのことだった。
制汗剤を使っているので…と言ってしまった自分が恥ずかしい。
私は、驚いた。におわないと思っていたのだろう。
少しにおいするんだ?自分でそのにおいが分かっただろうか?
そう考えると、自分では自分の臭いは分からないものなのかと改めて思った。
それとも、専門の医師だからそのにおいにより敏感なのかな?
「気になりますか?」と言われたので、「はい」と答える。
私は、右だけがにおうことを伝えた。
もしかし、右だけの手術でいいのかもという思いもあったからであるが、医師はアポクリン腺の量は左右に違いはないの事、手術は両方やると言われたので、右だけでいいとも言えないし、右だけでいいとも思えなかったので、で両方やることを決意した。
手術のやり方などを写真などを見ながら説明を受ける。
手術当日、翌々日に抜糸。問題なければ、それ以降は通常通り。
ただ、手術できる日は、〇日と〇日でないと医師の都合がつかないとのこと
あとは、12月の中旬になるとのことだった
私も、仕事のシフトの関係で、手術日を即決できなかったので、また改めて連絡することにした。
診察に室に入って、あっという間の流れだった。
無駄な話はされないが、こちらが質問することに対しては、きちんと答えてくれる。
手際よく終わった感じだった。
※事前に質問を考えておく方が聞き忘れがないかと思います。
そして、脇の下に粉瘤があるので、それもとっていただけるか聞くと、取れるとのことだった。
(そういえば、1件目のクリニックでも、粉瘤も一緒に取ってもらえるか?聞いたら、取れるかどうかわからない、取れたら取るというようなあやふやな返答だったっけ)
また、首にも粉瘤があったので見せると、「今日取れますよ」と言われたので、取ってもらった。
なんという早い展開だろう。
しかも、ものすごい手際の良さだった。たぶん。
会計の時に、手術承諾書と注意書きなど書かれた書類を何通かもらい、薬局で薬をもらって、帰路についた。
薬局で、「何で診療を受けたのか?」聞かれた。
「粉瘤です」と素直にこたえたものの、次回ワキガの手術の時は「ワキガの手術です」などと言えないなぁと思った。
ナースに、「今日は、シャワーだけにしておいてください」と言われたのだが、傷口も痛くもかゆくもなかったので、うっかり入浴してしまった。
そしたら、傷口から出血してしまった。
言われたことはきちんと守らないといけませんね
こちらで、手術を受けようという思いは、揺らがなかった。
再び、病院探し
ワキガに対する治療を何かしら行いたいのに、どこで相談したらよいのか?
どこを信じたらよいのか?分からなくなって、しばらくネットで調べるのを辞めてしまった。
少し、気温も下がってきて、少し汗の量は減ったものの、仕事場へ行けば、脇汗はじっとりとかいた。
仕事前には、脇汗パッドをインナーに装着した。一枚では足りなかったので、範囲をカバーするために2枚使用した。それプラス、タオルハンカチを脇に挟むなどの、涙ぐましい努力を続けた。
特に、衣服消臭剤の〇―ラビオの存在は、とても心強いものだった。
家へ帰って、汗でぬれた脇部分の臭いをかいでも、におわなかった。
おそらく、3年着たおしたポリエステルのユニフォームが、臭いを発する根源であろうことは、分かっていたので(いや、そもそもは、私の脇が悪の根源ではあるのだが…)、油断できなかった。
勤務の終わりまで、気が抜けなかった。
実際、臭いが漂っているのか?いないのか?誰かに聞きたいところだが、そんなことできるわけもなく、涼しい顔(?)をしながらも不安いっぱいだった。
やはり、このままでは嫌だ、何とかしたいという思いが、私を再び立ち上がらせた。
もう一度、治療を行うクリニックもしくは病院を探すことにした。
数ある情報から、よし、ここだ!と選び取る自分の本能インスピレーションにかけるしかない。
でないと、前へ進めないのだから…
1,2件目は、いわゆる美容系クリニックで、なんとなく印象が悪いふうに思ってしまったので、病院系に目を向けてみた。
※「ワキガ 保険診療」「ワキガ 保険」検索ワードの内容は同じでも、少し言葉が違うだけで、検索結果が微妙に違うので、いろいろ、やってみた方がいいかもしれない。
皮膚科、形成外科という名前が入っているところをピックアップし、通いやすそうなところを一件見つけた。
院長先生が施術している
HPに顔写真が載っている
HPの印象がとても良い(まじめで地道な感じ)
他の皮膚科形成外科疾患にも広く対応している
悪い口コミを目にしなかった
これらは、私の中で安心要因になったようだ。
疑問や質問にもメールで受け付けているとのことだったので、メールをしてみた。
ワキガの保険診療を受けたいこと、ご相談させていただきたいこと、予約が必要ですか?などという内容でメールしたら、翌日には返信があった。
予約なしでもよいが、予約した方が待ち時間が短いかもしれないこと、予約は電話でという内容だった。
※今思えば、とてもお忙しいはずなのに、メールの対応にもとても速く驚く
私は、早速、電話をかけ、診察の予約をおこなった。
先生のメールや受付の電話の対応にも安心感を持つことができた。
ひとまず、ほっと胸をなでおろした。
白紙にもどる
初めての無料カウンセリングを経て、早々に手術の予約まで取ったものの、
クリニックから帰り道、本当にあの先生に身をゆだねるのか?やるのか?なんとも落ち着きのない心持ちで帰路についていた。
電車の中で、ふと、ネット検索してみる
「ワキガ、保険治療」
そしたら、今行ってきたクリニックではないクリニックの情報が入ってきた。
他のクリニックがずらずらと
どうして、最初に検索したとき見つけられなかったのだろう
こんなに保険適応で手術できるクリニックっていっぱいあるんだ?!
その中の一つのクリニックに目が止まった。
今行ってきたクリニックと同じ駅にあったらしい。
私は、思わず、乗っていた電車を降りて、引き返していた。
来週、ちょうど4日ほど休みがあったので、そこで手術をしたいという思いがあった。
それに、せっかくの休みである今日、なにかしら前進したかった。
もう一度、同じ駅に降り立ち、先ほどのクリニックがある方向とは違う方向へ歩きだした。
その途中で、電話をして、今から無料カウンセリングにうかがえないかどうか?聞くと、医師がいないと言われてしまう。
どうやら、はやまってしまったようだ。
ちょっとがっかりしながら、あきらめて再び帰路につく。
帰り道、そこのクリニックのHPを見続ける。そこは、院長が施術しているということが書かれていたし、とても熱心そうに思えたし、親身になってくれそうという期待から、家に帰って、改めて電話で、無料カウンセリングの予約をした。
1件目の手術予約は、電話でキャンセルさせてもらうことにした。
あっさりキャンセルすることができた。
・・・この頃、気持ちばかりが焦っていた。
インターネットは、気軽にいろいろな情報を入手できて、とても便利だけど、振り回されてしまう。
何を信じたらいいのか?分からない。
1件目も2件目のクリニックも、ビルの中にあるクリニックだった。
2件目は、特に小さなビルで、こんなところにクリニックが入っているの?という印象を受けた。
実際は、クリニック内に入っていないので、中がどんなふうになっているのかは、分からないけど、簡易なクリニックなんだなということがうかがえた。
時間がたつと、冷静にいろいろなことが気になりだしてきた。
インターネットの情報に心が反応する。
結局、この2件目のクリニックも、キャンセルした。
HPなど見ると、それぞれのクリニック、どこで受けてもよさげな印象を受ける。
だからこそ、1件目にヒットしたクリニックだけ見て、私は希望を胸に門をくぐったのだ。
しかし、HPを見た時の印象と、実際、医師に会った時の印象が違った。
2件目は、1件目のトラウマもある。
それに、ネットの悪い口コミを見てしまって、もう行く気がしなくなった。
いづれにせよ、私は自分の本能に従うしかないのだが、その自分の本能に自信がなくなってしまったのかもしれない。
いい口コミ、悪い口コミ、両方見ると、どうしたらいいか分からない。
何のつてもない、何件かある保健診療でできるクリニックから、どう選び取ればいいのか?
何件も行けばいいのかもしれないが、もしも、1件目のようなクリニックばかりだったらどうしようという不安になってしまい、
病院選びができなくなった。
初めての無料カウンセリング
予約していたクリニックのカウンセリングへ行く日が来た。
そのクリニックは、ネット検索して、一番最初に出てきたところだった。
他と比較もせず、速攻申し込んだ。
地図を見ながら、そのクリニックへ到着した。
エレベーターに、共に数人の女性が乗り込んだ。
みんな私と同じ階でおりるようだった。
そのクリニックがワキガ治療以外にどんなことをしているのかさえ、調べていなかったので、私は、みんな私と同じなの?と思ったりして、ちょっと居心地が悪かった。
みんな、慣れた様子で落ち着いているようにさえ見えた。
エレベーターを降りると、全員、私と同じ目的地
私は、最後に受付をした。
「〇時に予約していた〇〇です」そう言うと、すぐさま、問診票の記入を促された。
記入するのに、ソファに座った時、先に受付した人たちは、既にどこかの部屋に入っていて。待合所には誰もいなかった。
多汗症、ワキガと書いた。
少し抵抗を感じたのは、まだ認めたくないからだったのだろうか?
治療に、何を求めますか?という選択項目に〇をつける欄があった。
完全に治療したいとか、いろいろ
すべてに〇をした。
しばらくして、医師のいる部屋に通された。
ドキドキして部屋に入ると、そこには、予想とは違う若い医師がいた。
こちらとしては、包み込んでいただけるような、安心感を得られるような、そんな対応をとっていただきたいという願望があるが、第一印象で打ち砕かれた。
こちらの思いをくみ取ってもらえるようなそんな懐の深さは持ち合わせていない、頼りないような、つかみどころがないような印象を受けた。
だけど、話ししてみないと、分からない。
そう思い、席につき、医師の話に耳を傾けることにした。
医師には、覇気がなかった。
とりあえず、保険適応になるかどうかの確認をされる質問だったように思う。
耳垢が湿っているか、遺伝があるか、シャツが黄色くなるかなど・・・
これらがあると、保険適応になるらしい
それが分かると、いきなり、手術の説明用紙みたいなものを出されて、手術の説明をされた。
え?いきなり?大変驚いた。
間で、ちょいちょい質問をしてみたものの、あたりさわりない範囲での返答だったように思う。
こちらは、早く手術をしたいという思いがあるので、あれよあれよと手術する方向へいったのか?
無料カウンセリングに、もっとこちらの気持ちに応えてくれるような、ゆとりのある対応を求めてはいけないのだろうか…
術後の安静はどの程度必要なのか?
具体的に、この日に手術をしたら、この日から仕事ですが、大丈夫ですか?
こんな仕事内容ですが、大丈夫ですか?
と確認したら、
ん~ ・・・大丈夫だと思います・・・と、なんとも頼りないふう
所詮、他人事で、適当に答えてやしないか?と一抹の不安。
それでも、医師が大丈夫だと言うので、私は、信じるしかなかった。
にしても、頼りないな・・・
HPでの医師紹介の中にはいなかったな、この人
そう思いながら、
「手術は、先生がなさるのですか?」と、聞くと、そうですと言う。
どうしますか?と聞かれ、この流れで、やはりやめておきますという明確な理由がなかったので、お願いすることにした。
もしかして、こんな頼りないけど、腕は確かかもしれないし…
「ここにサインしてください」と、今説明に使った紙に手術の承諾のサインをするように言われて、サインして、診察室を後にした。
受付で、正式に予約を取る。
受付の方に、「女性の先生はいませんか?」とあがくかのように聞いてみた。
「別の分院ならいます」と言われる。
仕方ない、先ほどの医師が隣の診察室でこの会話を聞いている可能性もあるので、無理なことは言えないまま、そのまま変更せずに予約を取った。
「何かありましたら、お電話ください」と言われ、クリニックを後にした。
いいのか?いいのか?あそこで手術するのか?
あの先生にやってもらうのか?いいのか?
本当にやるのか?
頭の中をそんな言葉がぐるぐるしていた。